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2011年2月

2011年2月27日 (日)

コトラー先生の色メガネ|「マーケティング3.0」

ようやっと、3週間かけて、コトラー先生の
「マーケティング3.0」を読んだのであります。


コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
フィリップ・コトラー ヘルマワン・カルタジャヤ イワン・セティアワン
朝日新聞出版
売り上げランキング: 1154

で、感想は?と聞かれると
僕の頭がたぶんに悪いせいだが、この本には
「新発見!」とか「これは使えるぜ!」という
ワクワク感はなかった。

しかし、考えてみればそれは当然である。

この本は、新発見を述べたものではなくて、
現在起こっている事象の具体例をかき集めて
それを「説明・理論化」してくれた本なのだ。

いわば、コトラー先生の作ってくれた
「時代を見るための色メガネ」。

そして便利な
「マーケティング3.0」
というキャッチフレーズ。

この言葉には、現代の市場の事象が
パッケージ化されているから

なぜ、大企業は慈善事業に取り組むか。
なぜ、社会起業家が多く台頭してきたのか。
なぜ、原丈人さんはバングラデシュでの
事業に取り組む
か。

などなど、何となくうすうす理解できるのだけど
説明するのは難しかった事象が

「それは、マーケティング3.0の観点から
見るとですねえ・・・」と、説明できてしまう。

そんなメガネを作ってくれた。
すごいぞコトラー先生!

*     *     *

マーケティング3.0時代にあっては、
経営戦略に、世界の課題に取り組むことを
含んでいる企業が消費者の信頼を得る。


「慈善事業」は単なる寄付、アピールでなく、
企業の事業上の戦略になりうる。

・・・・ということが、この本を読むと
僕みたいな馬鹿にもぼんやり理解できる。
ただし100パーセントは理解できない。
なぜなら私は「マーケティング2.0」もろくに
理解できていないからだ。お恥ずかしい話。

この本を読めば、
ガイアの夜明け」とか「カンブリア宮殿」などの
ビジネス番組を見るときの
「ははあ、この会社はこう来ましたか・・・」
という見方の楽しみが増えるに違いないし、

最近何かと話題のドラッカー先生の
「非営利組織の経営」が、
いかに先見の明があったことを知って
度肝を抜かれてみるとか

非営利組織の経営―原理と実践

そんな楽しみが増えること請け合いである。

それにしても
「マーケティング3.0」のメガネをかけると
いつかの “ヒソヒソ女将” の行いは、
徹底的に間違っていたのだなあ、ということが
よくわかるのであった。





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2011年2月16日 (水)

たった一つの冴えないやりかた

君たちに言うよ。
君たちとは、君たちだ。
(あるいは僕でもある)

君たちは、先日の「新宿無差別殺傷予告」で
溜飲を下げたんじゃないかな。

君たちは「やったぜ!ざまあみろ!」って
思ったかもしれないね。

予告されたような事件は結局起こらずに済んだ。
でも、世の中は確かにざわついた。

君たちの憎しみが、確かに世の中を動かした。
それは、君たちから見れば、喝采したいような
晴れがましい気持ちだったかもしれない。

*     *     *

今回の予告は「デマ」だった。
デマとは、多くの人が噂することだ。
そして、その噂は、ある種の緊張した空気を
作り上げていく。

デマが生まれる構造は
関東大震災の頃に起こった「朝鮮人虐殺」と
まったく変わっていないと思う。

なぜ、デマが生まれ、流れるのか。
それは、多くの人が不安に思っていることが
言語化されることで起こるんじゃないか。

関東大震災の頃で言えば、当時の人は
朝鮮の人に対して罪悪感のようなものを
抱いていて、
「いつか復讐されるのではないか」
という不安があった。それがデマを生んだ。

今回なら、
「無差別殺人がどこかで起こるのではないか」
という潜在的な不安が、僕たちにはあって
それが、
「もしかしたらあり得るかもしれない」
「念の為に、みんなに知らせておこう」
という空気を生んで
「無差別殺人予告」はデマとして機能した。

デマは、流されることで大きくなっていく。
今回の場合、やはりTwitterが大きな役割を
果たしていると思う。

何気ないツイートは、一瞬のうちに、
何百・何千というフォロワーに向けて発信される。
ツイートはすでにメディアだ。

「面白い噂話」「念の為にちょっとお知らせ」
のつもりで発信したことが
世の中に不穏な空気を形成することもある。

*     *     *

君たちはいったい何に憎しみを抱いているか。
僕にはわからないが、その憎しみの気分は
よくわかる。

確かにこの世の中は糞に満ちている。
さらに、糞である自分自身からも逃げられない。
そんな絶望感がまとわりついている。

「無差別予告」が放ったメディア爆弾は炸裂した。
世の中のブタどもが、少しのあいだ脅えただけでも
君たちは大いにすっきりしたかもしれない。

しかし、まあ、そんな気分は続かない。

問題は、インターネットが
君たちを(僕も含めて)解放してくれないことだ。
どこかへ連れていってもくれない。

インターネットは、ただの道具なのだ。
言い古されたことかもしれないが
最近は何だかすごいことになっているから
そんな原則を忘れることもある。

インターネットは、ただの道具なのだ。
君たちの持ち物を増やしてはくれない。

あるものは、より、あることを
ないものは、より、ないことを増幅させるだけで、
ときにみじめな気持ちになりはしても、
決して君たちを根本から変えてくれはしない。

*     *     *

憎しみに身を焦がされそうになったら、
たった一つ、冴えないやり方がある。

「スイッチを切れ。本を読め」

ということだ。
デマを流さずにも、参加せずにもいるためには、
自分のメディア力を、極力下げるしかない。

君たちがもし、糞ったれのネットワークに
(現実世界の、あるいはインターネットの)
苦しんでいるなら、さっさとスイッチを切ろう。

さっさと一人で本でも読む。自我をオフにする。
そんなところで手を打たないか。
「自我のオフ」については、また今度語ろう。






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2011年2月 9日 (水)

マナーポスター2.0

東京メトロのマナーポスターが、昨年から
進化を遂げている。

東京メトロのマナーポスターは、現在
「またやろう」
をキャッチフレーズに、寄藤文平さんの手による
味のあるイラストで
2コマ漫画ともいうべき内容が展開されている。

一昨年までは
「○○(場所名)でやろう」
というキャッチフレーズで、地下鉄ですべきない
迷惑行為をたしなめる、従来のマナーポスターの
流れを組んだ内容だったが、

今年度の「またやろう」は
「マナーポスター2.0」ともいうべき進化を遂げた
内容になっている。

どこがマナーポスター2.0なのか、2つポイントを
挙げてみませう。

1.説得の方法の変化
従来のマナーポスターが表現しているのが、
“禁止”だとすると、
「またやろう」が表しているのは、“模範”
である。

書籍「影響力の武器 実践編」によると、
影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

人間は「大多数の人間が行っていますよ」
証明された行動を無意識に模倣するらしい。

この「社会的証明」と命名されている説得技法が
東京メトロのマナーポスターには使われ
より人間心理に沿った内容になっている。

2.ギャップ理論の大活用
「またやろう」のポスターは2コマになっているが
※2コマでないケースもあるが、オチが付く構成は同じ
それには必然性がある。

1コマ目:一見迷惑行為と見える行動を取る人が
2コマ目:実際は親切なマナー人だった


という巧みな構成をとることで、「ギャップ効果」を
生んでいるのだ。

「一見悪そうだけど、実はいい人」
というギャップは、見る人の心を和ませる効果がある。

こうして、単なる「模範的ポスター」では
押し付けがましくなってしまうところを
うまい具合にユーモアで緩和しているのだ。

なんという絶妙なバランス感覚。

かのように、東京メトロのマナーポスターは
かなり先進的な進歩を遂げていると言えるだろう。

*      *      *

ただ、ひとつ気になったのは、2011年1月の
マツコ・デラックスの登場である。

20110208


「あれ?メーター振り切っちゃったのかな」
と思ったのだが、2月は通常の流れに戻った。

この不穏な動きは、何かへの伏線なのか・・・
今後も東京メトロのマナーポスターから目が離せない。




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2011年2月 7日 (月)

FREE世界を生き延びろ!人気者でいこう!(後編)

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン
日本放送出版協会
売り上げランキング: 497

(承前)
「評価経済社会」においては
金銭に代わって、新たな資本になるのが「注目」だ。

Googleのページランク、FaceBookのフレンド数
Twitterのフォロワー数・・・
数値化されるようになった「注目」が
新たな価値になるのではないか
、と本書は言う。

というか、すでにそうなりつつあるのを、僕らは
きっと感じているはずだ。

で、僕が「マイッタナー」と思うのはそこ。

つまりこれは「人気者が勝つ」という
容赦ない世界の幕開けではないか。

*     *     *

FREE経済において、例えば「フリーミアム」
モデルをとろうとするなら、

有料版を一部の人たちが購入することによって
採算が成り立ち、その他おおぜいの、
無料版を使う人たちを支える、という仕組みになる。

そのためには、とにかく母数が勝負だ。

100人集めるのと、100万人集めるのとでは
そのモデルが成り立つ成功確率はケタ違いだ。

つまり、FREE経済において、最初の難関は
いかに母数を集めるかということになるだろう。

ユーザーの母数の多さが、生命線になる。

そのときに武器になるのが、「人気資本」だ。
(もちろん提供するものの内容も重要)
人を集めることのできる企業や個人が勝つ。

糸井重里さんが「ほぼ日」を立ち上げるときに
「明確なビジネスモデルなんかなかったけれど
とにかく人がいっぱい集まる場を作れば
何とかなると思った」

と言っていたけれど、何という慧眼だろうかと
本書を読みながら何度も思ったものだ。

・・・さて、では
人気者になるにはどうすればいいのだろう?


とそこまで考えて、頭がエネルギー切れ。
あくびが出た。
いっそ「あくび指南」なんぞ、デタラメを
一からでっちあげるか!?


「FREE」をまだ未読の方は
ぜひお読みいただいて、人気者資本の蓄積に
努めて欲しいと思う。






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FREE世界を生き延びろ!人気者でいこう!(前編)

たーいーへんに遅ればせながら、
クリス・アンダーソン「FREE」を読んだ。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン
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一昨年に出た本ではあるが、書かれた内容は
現在進行形で進んでいることなので
もう、わしわしと貪るように読めた。
(読了までに時間はかかったけれど)

もう、読んだ人が大半だと思うので
内容のまとめは最小限にとどめたい。

タイトルには
「〈無料〉から価値を生み出す新戦略」
とあるが、この本は特に、ビジネスモデルの
ハウツーを記しているわけではない。

なので、これを読んで明日から
大金持ちへの第一歩を高らかに歩める、
というわけではない。

現在、すでに進行している現象を、
注意深く比較・分析した本だといえる。

すなわち
「デジタルのものは遅かれ早かれ無料になる」
「フリーは止まらない」

という現象について、その原因を解き明かしながら
「フリーからもお金儲けはできる」
と、実例を交えて解説していく。

この本では、〈無料経済〉という
経済モデルについて、いくつか種類を
挙げていて、その中も特に下の二つが興味深かった。

◆フリーミアム
→無料版と、高機能な有料版が存在し、
有料版を購入する一部のユーザーによって
無料版を使うユーザーが支えられているモデル

◆非貨幣市場
→人々が対価を期待せずに労働力などを提供するモデル
・無償贈与(シェア・物々交換)
・無償の労働力(Googleにおける検索、検索精度を高めるのに役立つ)
・不正コピー(ファイル共有ソフト)
などなど。

この分類を読んでいると、今現在の状況に
どんどん説明がついて気持ちがいいのだが

「ではフリーからお金儲けをする」ためには
どうすればいいのだろう?
ということについては明確な答えは出ていない。

本書は〈無料経済〉を称賛しているわけでも
啓蒙しているわけでもなく、徹頭徹尾
「デジタルの無料化は止められないですよ」
という中立的な現状分析に徹している。

だからこの本を読んだとしても、すぐに
「FREEを活用してお金儲け」のビジネスモデル
が浮かぶわけではない(ヒントはある)。

「FREE」を読んでいると確かに、
資本主義に代わる新しい価値が起こりつつあることを
予感させてくれるのだが、
(その点ではすごくわくわくする)

それは決して当然パラダイスなどではなく、
新たな競争が始まるに過ぎない、ということも
同時にわからせてくれるのだ。
(その点ではすごくドギマギする)

では、その新しい価値とは何か?

ということのヒントは、もう一読された
皆さんならお分かりの通り、おそらくそれは
「評価経済」ではないかとされる。

金銭に代わって、「注目」が新たな資本となる
社会のことである。

(長いので後編に続く)





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2011年2月 2日 (水)

曲がだんだん長くなる

最近、ビートルズの曲を聴いている。
聴けば聴くほど、感嘆の念が湧く。

ひとつ疑問に思ったのは、曲の長さについて。

初期の曲は、とにかく短い。
長さが1分台のものも少なくない。
しかし後期になると、曲の長さは長くなり、
7分に迫る「Hey Jude」などもある。

なぜ、曲は長くなっていったのか。

調べたところ、当時はラジオでかけられる
曲の長さが3分ほどと決まっていたので
短い曲が多かったとか。

なるほど。

ただ、そういう外部的な要因の他に、
初期のビートルズは、ロックというジャンルの
黎明期でもあって、短い曲しか作れなかった、
という技術的な限界もあったように思う。

曲が長くなる要素には何があるのだろう。
思いついた限りで書き留めてみた。
(学術的な分類ではありません)

他にありましたら、ぜひご教授ください。

1.繰り返し
繰り返しの数が増えれば増えるほど、曲が長くなる。
・明確な繰り返し(決まった小節で必ずリフが入るなど)
・明確でない繰り返し(ジャズのセッションなど)

2.接合
異なるパーツをくっつけて曲を長くする
・1曲の中で、A→B→C の繰り返しの中に、Dが現われる
・複数曲を接合(複数の楽章からなるクラシックなど)

3.速度
・速度を遅くすると曲が長くなる







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